こんにちは。新座きりん歯科クリニックです。みなさんは、歯を失う原因をご存じですか?
ほとんどの方がむし歯だと考えているかもしれません。しかし、実は歯を失う原因の第1位は歯周病なのです。
歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨を破壊してしまう病気のこと。初期段階では自覚症状がないため、気づいたら手遅れになっていたということも珍しくありません。
そこで本記事では、歯を失う原因TOP3と歯周基本治療の重要性、毎日のケアで歯を守る方法を解説します。
目次
■歯を失う原因TOP3
まず、歯を失う原因のTOP3を見ていきましょう。
◎3位.歯の破折
歯の破折(はせつ)は、歯が欠けたり折れたりする状態のことです。転倒やスポーツ中の事故、硬いものを強く噛みすぎたときなどに起こります。
歯の破折は軽度であれば詰め物で修復できますが、歯の根っこまで達するような重度の破折の場合、残念ながら抜歯が必要になる可能性が高いです。
◎2位.むし歯
むし歯は、口の中にいる細菌が糖分を分解する際に発生する酸によって、歯が溶かされてしまう病気です。
初期段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことも。放置すると次第に歯の内部へと進行し、冷たいものや甘いものがしみたり、歯に穴が開いたりします。歯の神経にまで達すると激しい痛みを引き起こすようになり、最終的には抜歯が必要になるケースもあります。
◎1位.歯周病
歯周病は、歯ぐきや歯を支えているあごの骨などが、歯垢(プラーク)に含まれる細菌によって破壊されてしまう病気です。
歯周病の怖いところは、初期段階では自覚症状がほとんどないこと。気づかないうちに進行し、歯を支える骨が溶けてしまうと歯がぐらつき始め、最終的には抜けてしまうことがあります。
■歯を失う原因第1位の「歯周病」とは?
歯周病の初期段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことが多く「サイレントキラー」とも呼ばれています。
◎進行段階によって症状が異なる
歯周病は、進行段階によって名称や症状が異なります。
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・歯肉炎:歯ぐきのみに炎症が起こっている状態。
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・軽度歯周炎:歯周ポケットが深くなり、歯を支える骨が少し溶けはじめている状態。
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・中等度歯周炎:歯を支える骨がかなり溶けて、歯がぐらつきはじめている状態。
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・重度歯周炎:歯を支える骨がほとんど溶けてしまい、歯が抜けそうな状態。
◎歯周病によって引き起こされる全身への悪影響
歯周病は、お口の中だけの病気だと思われがちですが、実は、歯周病菌が血液中に入り込むことで全身にさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。
歯周病菌が血管に入り込むと動脈硬化が促され、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めてしまう可能性があります。また、糖尿病との関連も明らかになっており、歯周病になるとインスリンの働きが阻害され血糖値のコントロールが難しくなることも。
さらに妊婦の場合は、早産や低体重児出産のリスクが高くなる可能性があります。
■「歯周基本治療」で歯を守る!
歯周病の治療の基本となるのが「歯周基本治療」です。これは、歯周病の原因となる歯垢(プラーク)や歯石を除去し、歯周病菌の増殖を抑えることで炎症を鎮め、歯周組織の回復を促す治療法です。歯周基本治療によって早期に歯周病の進行を抑えることができれば、歯を失うリスクを減らせます。
歯周基本治療は、主に以下の処置を行います。
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・応急処置:痛みや腫れがある部分の炎症を抑えます。
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・プラークコントロール:正しいブラッシング方法の指導や生活習慣の改善を行います。
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・スケーリング・ルートプレーニング:歯石の除去と歯の根っこの表面の滑沢化を行います。
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・不良修復物・補綴物のやり直し:歯周病の原因となる不適合な詰め物や被せ物を修正します。
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・咬合調整:歯にかかる力のコントロールを行います。
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・暫間固定:必要に応じて揺れ動いている歯を隣接歯と固定します。
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・抜歯:重度の場合、抜歯が必要になることもあります。
歯周基本治療の費用は、保険診療の場合、3割負担で1回あたり約3,000円〜5,000円程度です。治療期間は歯周病の進行度合いによって異なりますが、軽度であれば1〜2ヶ月、中等度〜重度であれば3ヶ月〜半年程度かかることもあります。
早期に発見し、適切な治療を行うことで進行を食い止めることができます。少しでも気になる症状がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
■歯を失わないためにできること
いつまでも自分の歯で美味しく食事を楽しみ、健康的な生活を送るためには、日々のケアが大切です。
◎正しいブラッシング方法を身につける
歯みがきは、むし歯や歯周病を予防するための基本です。しかし、ただ磨けば良いというわけではなく正しいブラッシング方法を身につけることが重要。
また、歯ブラシだけでは、歯と歯の間の歯垢(プラーク)を完全に取り除くことはできません。デンタルフロスや歯間ブラシを使って、より効果的に歯垢を除去していきましょう。
◎定期検診を受ける
歯科検診では、歯や歯ぐきの状態をチェックし、むし歯や歯周病などの兆候を早期に発見できます。さらに歯のクリーニングやフッ素塗布などの予防処置を受けられます。
また、定期的にレントゲン撮影で歯の根っこや、あごの骨の状態などを確認することも可能です。3~6ヶ月に1回を目安に受診することをおすすめします。
◎禁煙する
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用があります。そのため、歯ぐきへの血流が悪くなり、歯周病菌と戦う体の機能が低下してしまいます。全身の健康にも悪影響を与えるため、禁煙が望ましいです。
■毎日のケアと歯周基本治療で歯周病を予防し歯を守り抜こう!
歯を失う原因は、歯周病、むし歯、歯の破折など様々ですが、その中でも最も多いのは歯周病です。
歯周病は、自覚症状が少ないまま進行し、歯を支える骨を溶かし、最終的には歯を失うことにつながる病気です。しかし、歯周基本治療を受けることで、歯周病の進行を抑え、歯を失うリスクを減らすことができます。
毎日の丁寧なブラッシングや定期的な歯科検診を心がけ、いつまでも自分の歯で健康的な生活を送りましょう。