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歯を抜かなくてもよい?先端の再生療法について

2024年7月20日


こんにちは。新座きりん歯科クリニックです。


「歯周病で歯を抜かないといけないと言われた」

このような悩みはありませんか?


歯周病は、歯ぐきや歯を支えている骨が溶けてしまう病気です。


しかし、「再生療法」によって歯周病で破壊された組織を再生できる可能性があります。


本記事では、再生療法について種類や流れを解説します。


■再生療法ってなに?


再生療法とは、病気やケガなどで失われた組織を再生させる治療法です。歯科治療では、歯周病によって破壊された歯周組織(歯ぐき・歯根膜・歯を支える骨)を再生させる治療法を指します。


歯を失う主な原因は「歯周病」です。歯周病は歯ぐきや歯を支える骨に炎症を起こし、放っておくと歯が自然に抜け落ちてしまうことがあります。


歯周病治療では、まず歯磨き指導や歯石除去を行う「歯周基本治療」から始まります。歯周病の原因となる歯垢や歯石を取り除き、毎日の歯磨きでプラークコントロールを徹底してもらうための治療です。


しかし、歯周病が進行して歯ぐきや骨が大きく失われてしまった場合、歯周基本治療だけでは回復が難しいケースもあります。


そのようなケースでは、「歯周外科手術」が必要です。歯周外科手術は、歯ぐきを切開して歯の根っこに付着した歯石や歯垢を取り除き、表面を滑らかにする処置です。


その際に「歯肉組織再生療法」も選択することで、失われた歯周組織の再生を促せます。


■再生療法は歯を抜かなくてもよい?


歯周ポケットが深く、歯がグラグラしている場合でも、再生療法によって歯周組織を回復させることができれば歯を残せる可能性があります。


ただし、全ての歯周病に再生療法が適応できるわけではありません。歯の状態や歯周病の進行度合いによっては、抜歯が必要なケースもあります。


また、再生療法は治療期間が長くなる傾向にあります。歯周組織が再生するまでには時間がかかるため、定期的な通院と丁寧なセルフケアが欠かせません。


■再生療法の種類


再生療法には歯周組織の再生を促す薬剤を塗布する方法や、特殊な膜を使って歯周組織の再生を促す方法などがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。


◎エムドゲイン・リグロス

エムドゲインは、歯の発生を促すエナメルマトリックスタンパク質という成分を応用した再生材料です。一方、リグロスは、歯周組織の細胞を増殖させる成長因子を含んでいます。


どちらも歯周病によって失われた歯周組織の再生を促すことを目的としています。


◎GTR法

GTR法は、「メンブレン」と呼ばれる吸収性の特殊な膜を使って歯周組織の再生を促す方法です。歯周病により失われた歯を支える骨にメンブレンを置くことで、歯肉などの組織が入り込むのを防ぎ、骨の再生に必要な細胞が働きやすい環境を作ります。


◎骨移植

骨移植は、自分の骨や人工骨などを移植し、歯周病などで失われた歯を支える骨を再生させる治療法です。インプラント治療を行う際、骨の量が足りない場合に用いられることもあります。


◎結合組織移植・遊離歯肉移植術

結合組織移植と遊離歯肉移植術は、どちらも歯周病によって歯ぐきが下がってしまった場合に行われる治療法です。


結合組織移植は、上あごから採取した組織を移植することで、歯の根っこの露出や知覚過敏を改善します。


遊離歯肉移植術は、より深い部分の組織を採取し、歯ぐきの厚みを増やします。


■歯周組織再生療法の流れ


歯周病によって失われた歯周組織を再生させる「歯周組織再生療法」。どのような治療が行われるのでしょうか?具体的な流れを見ていきましょう。


◎1.検査・診断

レントゲンやCT撮影、歯周ポケットの検査を行い、歯周病の進行度合いや再生療法が適切かどうかを検査します。


◎2.歯周基本治療

再生療法の効果を高めるためには、お口の中を清潔に保つことが大切です。歯磨き指導や歯石除去などを行い、歯周病の原因となる歯垢や歯石を取り除きます。


◎3.局所麻酔

歯ぐきを切開する必要があるため、局所麻酔を使用して痛みを軽減します。


◎4.歯ぐきの切開

歯ぐきを切開して歯の根っこを露出させます。


◎5.歯石・歯垢の除去

歯の根っこに付着した歯石・歯垢を取り除き、歯周病の原因菌を減らします。


◎6.再生材料の注入

歯周組織の再生を促すエムドゲインやリグロスを注入し、必要に応じて歯周組織の再生をサポートするメンブレンを置きます。


◎7.縫合

切開した歯ぐきを縫い合わせて傷口を閉じます。歯周組織の再生には個人差がありますが、1年程度かかります。再生の過程は自覚症状がないことが多いため、定期的なレントゲン撮影で経過を観察し、順調に回復しているかを確認します。


【歯周病は早期発見が大事】


近年は、歯の再生医療の研究が進み、歯の神経から細胞を採取し凍結保存する取り組みも始まっています。もしかすると、歯まで再生できる日が来るかもしれません。


しかし、これらの再生療法は、まだ研究段階。実用化されたとしても保険適用外の治療となる可能性が高く、高額な費用が必要になることも予想されます。


また、現在行われている再生療法は万能ではありません。歯周病の進行度合いによっては適応できない場合もありますし、治療費や治療後の注意点など、考慮すべき点は多くあります。


だからこそ、歯周病予防が大切です。定期的な歯科検診を受け、歯周病の早期発見・早期治療に努めて大切な歯を守りましょう。


新座きりん歯科クリニック
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