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歯周病の再生療法「エムドゲイン」って何?|リグロスとの違い

2025年1月27日


前回は、保険適用で受けられる歯周病の再生療法「リグロス」について解説しました。今回は、自費診療で行う再生療法「エムドゲイン」について、リグロスとの違い(主成分・費用・効果)や適応症、治療の流れなどを紹介します。


■歯周病の再生療法「エムドゲイン」って何?


歯周病によって破壊された歯周組織(歯ぐき・歯根膜・セメント質・歯槽骨)は、自然には元の状態に戻りません。エムドゲインは、破壊された歯周組織の再生を誘導させることを目的とした治療法です。


エムドゲインは、スウェーデンのビオラ社によって開発された歯周組織再生誘導材料です。主成分は、「エナメルマトリックスデリバティブ」と呼ばれる、豚の歯胚(しはい)から抽出したタンパク質。


歯の発生過程では、「エナメル芽細胞」という細胞が、歯の表面のエナメル質を作り、その周囲に存在する間葉系細胞から歯根膜・セメント質・歯槽骨が形成されます。エナメルマトリックスデリバティブは間葉系細胞を刺激し、歯根膜・セメント質・歯槽骨の形成を促進します。


■エムドゲインの適応症例


エムドゲインは、歯の根っこに沿って垂直方向に骨が吸収されている状態である「垂直性の骨欠損」に対して効果を発揮します。


また、全身的な健康状態が良好であること、適切なプラークコントロールが行われていること、喫煙習慣がないことなども条件となります。


■リグロスとの違い


リグロスとエムドゲインは、どちらも歯周組織の再生を目的とした治療法ですが、以下のような違いがあります。



エムドゲイン

リグロス

主成分

エナメルマトリックスデリバティブ

ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子

由来

豚の歯胚

ヒト由来タンパク質

保険適用

自由診療(保険適用外)

保険適用

費用(相場)

1歯あたり約8万~15万円程度(歯科医院によって異なる)

1歯あたり約1~3万円程度(保険適用3割負担の場合)

骨再生の効果

垂直性骨欠損に効果的

垂直性骨欠損に効果的

副作用

長期的経過報告では、リグロスのような副作用はなし

・しこりができることがある
・口腔内の癌がある場合は使用できない


エムドゲインとリグロスでは、主成分が異なります。 エムドゲインは豚の歯胚から抽出したタンパク質であるのに対し、リグロスは遺伝子組み換え技術によって作られたヒト由来のタンパク質です。


そして大きな違いは、保険適用の有無と費用です。 エムドゲインは自由診療のため、治療費は全額自己負担となり、1歯あたり8万~15万円程度と高額になります。一方、リグロスは保険適用のため、3割負担の場合、1歯あたり1万~3万円程度で治療を受けることができます。


骨再生の効果については、エムドゲインの方がリグロスよりも優れているとされています。


リグロスについてはこちらの記事も参考にしてください。


■エムドゲインの治療の流れ


歯周病によって失われた歯周組織を再生させるエムドゲインの治療の流れを見ていきましょう。


◎1.検査・診断

まず、レントゲン撮影や歯周ポケット検査などを行い、歯周病の進行具合を確認します。歯を支える骨(歯槽骨)がどれくらい溶けてしまっているのか、歯ぐきの状態はどうなのか、といった点を様々な角度からしっかりと把握します。


◎2.歯周基本治療

エムドゲイン治療が適していると判断された場合、すぐに手術を行うのではなく、まずはお口の中を清潔にするための歯周基本治療からスタートします。歯石除去やブラッシング指導などを行い、口腔内を清潔な状態にします。


◎3.外科手術・歯石除去・エムドゲイン注入

まず局所麻酔を施し、痛みを感じないようにします。麻酔が効いたら歯ぐきを切開し、普段は歯ぐきに隠れている歯の根の部分(歯根)を露出させます。


次に歯根面に付着した歯石や、細菌によって汚染された物質を専用の器具で徹底的に除去します。エムドゲインを注入し、その後、歯ぐきを縫合します。


◎4.抜糸

手術後、通常1~2週間程度で縫い合わせた糸を抜きます(抜糸)。この期間は、傷口を清潔に保ち、安静に過ごすことが重要です。激しい運動や硬い食べ物は避け、柔らかい食事を心がけましょう。


◎5.経過観察

エムドゲインの効果が現れるまでには時間がかかります。そのため、治療後も定期的に歯科医院へ通院し、歯周組織の回復状態を継続的に確認します。


【歯周病でお悩みの方は放置せずに相談を】


エムドゲインは、歯周病で失われた歯周組織を再生させる治療法です。特に垂直性の骨欠損に対して効果が期待できます。しかし、自由診療のため治療費が高額というデメリットもあります。


歯周組織の再生療法には、エムドゲイン以外にも保険適用で受けられる「リグロス」という選択肢もあります。リグロスとの違いを理解した上で、ご自身の症状や経済状況に合った治療法を選択しましょう。


新座きりん歯科クリニックでは、歯周病治療にも力を入れております。歯周病でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。


新座きりん歯科クリニック
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