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タバコを吸いながら歯周再生手術はできる?骨再生リスクと禁煙期間

2026年8月12日
タバコを吸いながら歯周再生手術はできる?骨再生リスクと禁煙期間

喫煙習慣がある方が歯周再生手術を検討するときに知っておきたいこと


重度の歯周病で抜歯の可能性を告げられ、それでも自分の歯を残したい。ただ、長年の喫煙習慣があると手術の進み方が気になりますよね。この記事では、喫煙が骨の再生に関わる仕組み、術前術後に望まれる禁煙期間、禁煙が難しいときの選択肢までを順に整理します。判断材料をそろえてから治療に進むことが、歯を守る第一歩になります。


この記事の要点まとめ


  • 喫煙は歯ぐきの血流に関わり、歯周再生手術の経過に影響する可能性があります
  • 手術前後で望まれる禁煙期間や、禁煙が難しい場合の代替となる治療の考え方を紹介しています
  • 精密検査と事前相談を通じて、状態に応じた治療計画を検討する流れを解説しています

喫煙が歯周再生手術に及ぼす影響と骨再生への留意点


歯周組織再生療法は、失われた歯槽骨や歯根膜の回復を促すことを目的とした処置です。とはいえ、その回復は薬剤や材料の力だけで進むものではありません。土台となるのは患者さま自身の血流と免疫の働き。喫煙はまさにこの部分に影響すると考えられています1


ニコチンによる血管収縮と血流低下が骨再生を阻害する仕組み


ニコチンには血管を収縮させる働きがあり、歯ぐきの中を走る細い毛細血管ほど影響を受けやすいとされています。血流が細くなれば、骨や歯根膜をつくる細胞へ届く酸素や栄養も減ってしまう。さらに一酸化炭素は血液の酸素運搬を妨げるため、傷口が塞がるまでの時間も延びやすくなると報告されています2


もうひとつ、見落とされがちな側面があります。喫煙習慣のある方の歯ぐきは血管が収縮しているため、炎症があっても出血しにくく、進行のサインが表に出づらいという点です。「腫れも出血もないから軽いはず」と感じていたのに、検査で深い骨吸収が見つかる。そうしたケースは決して珍しくありません。


歯周組織再生療法(エムドゲインや骨補填材等)における成功率の低下


エムドゲインやリグロスなどの薬剤、骨補填材、遮断膜を用いる処置では、材料の周囲に新しい血管が伸びてくることが前提になります。血流が乏しい環境では材料が周囲組織となじみにくく、初期の傷口が開けば感染の入口にもなり得ます。


研究報告でも、喫煙習慣のある方は喫煙しない方に比べ、再生療法後の骨や付着の回復量が小さくなる傾向が繰り返し示されてきました。数値は研究条件によって幅がありますが、経過が読みにくくなるという方向性はおおむね一致していると受け止めていただきたいところです。自費診療で費用をかける処置だからこそ、条件を整えてから臨む意義があると考えています。


加熱式タバコ・電子タバコなら歯周再生手術を受けても問題ないか?


「紙タバコから加熱式に替えたので大丈夫では」というご質問をよくいただきます。ただ、多くの加熱式タバコにはニコチンが含まれており、血管収縮という点では同じ経路をたどると考えられます。タールや煙の量が違っても、骨再生に関わる血流の条件が改善するとは言い切れません。ニコチンを含まない製品についても、加熱された蒸気が粘膜に与える影響は研究が進行中の段階です。手術を前提とするなら、種類を替えるより休止を検討する方向が現実的でしょう。


歯周再生手術を成功に導くための禁煙期間と開始のタイミング

歯周再生手術を成功に導くための禁煙期間と開始のタイミング

禁煙は「手術の日だけ我慢する」というものではありません。組織の状態が変わるまでには時間がかかるため、日程から逆算した計画が欠かせません。厚生労働省も禁煙による健康面の変化について情報を公開しています1


手術前の禁煙開始時期(手術の何日前・何週間前から必要か)


血中のニコチンは数日で抜けますが、歯ぐきの微小循環や白血球の働きが立ち直るには、もっと長い時間がかかると考えられています。そのため一般的には、手術の少なくとも2週間前、できれば4週間以上前からの禁煙が望ましいとされています。全身の外科領域でも術前4週間程度の禁煙が推奨される場面が多く、歯周外科でも同じ考え方が参考になります。歯石除去やブラッシング指導を行う歯周基本治療の期間を、そのまま禁煙の助走期間として使うと無理が少ないでしょう。


術後の禁煙維持期間(組織・骨が安定するまでの目安)


術後は傷口が閉じる最初の2週間が特に大切な時期です。ここで喫煙が加わると、傷口が開いたり感染が起きたりする可能性が高まると考えられています。骨や歯根膜が成熟していくにはさらに数ヶ月単位の時間が必要で、レントゲンで骨の変化を確認できるまでおおよそ6ヶ月から1年を見込みます。望ましいのはこの期間を通しての禁煙継続、そして再生を促した組織を守るために、その後も喫煙しない生活を保つことです。


禁煙が難しい場合の対策と外来サポートの活用


意志の強さだけで乗り切ろうとすると、どうしても負担が大きくなります。ニコチン依存は治療の対象であり、禁煙外来ではニコチンパッチやガム、内服薬などを組み合わせた支援を受けられます。仕事のストレスが引き金になる方なら、吸いたくなる場面を書き出し、代わりの行動を決めておく方法も現実的です。当院では手術ありきで話を進めることはせず、禁煙の準備状況をうかがいながら開始時期を一緒に決めていきます2


喫煙をやめられない場合の代替治療と判断基準


禁煙が思うように進まない状況でも、打つ手がなくなるわけではありません。条件に見合った方法へ選び直す、という考え方に切り替えていきます。


禁煙達成が難しい患者さまに適した治療計画の考え方


喫煙を続けたまま骨再生を目的とした処置を行うと、期待した経過につながりにくい可能性が上がり、費用面の負担も見合いにくくなります。そこで当院では、まず歯周基本治療で炎症を抑え、数ヶ月かけて反応を確かめます。その経過を見ながら再生療法へ進むか、別の方法で歯を守るかを段階的に判断する進め方をご提案しています。


歯周外科手術(切開・清掃)や保存的治療による経過観察


骨の再生を狙わず、歯ぐきを切開して深部の歯石や汚染物質を目で確かめながら除去するフラップ手術という方法もあります。保険適用の範囲で行えることが多く、清掃しやすい状態を整えて進行を抑える目的に向いた処置です。ここに3ヶ月ごとのメインテナンス、噛み合わせの調整、必要に応じた歯の固定を組み合わせ、現状の維持を目指していきます。


抜歯とインプラント・義歯等の検討(喫煙に伴うリスクの違い)


保存が難しい歯については、抜歯後の選択肢を検討します。ただしインプラントも骨との結合や周囲の粘膜の状態に喫煙が影響するため、喫煙習慣のある方では慎重な適応判断とメンテナンス計画が前提になります。外科処置を選ぶ場合、術後の定期管理を続けられるかどうかが経過を大きく左右します。入れ歯やブリッジは外科処置を伴わない分、喫煙状況の影響を受けにくい選択肢としてご説明することもあります。当院の自費診療ではインプラント手術費と被せ物で385,000円(税込)といった目安をお示しし、分割払いやデンタルローンのご案内も行っています。


新座きりん歯科クリニックにおける事前相談と精密検査の流れ


再生療法の適応は、歯ぐきの見た目だけでは判断できません。骨がどのような形で失われているのかを、立体的に捉える必要があります。


歯科用CTやマイクロスコープを用いた骨吸収状態の精密診断


当院の特徴として、拡大鏡や歯科用CTを使用した精密な検査・治療を行い、大切な自身の歯を守ることを大切にしています。CTでは骨の欠損が垂直方向か水平方向か、壁がいくつ残っているかまで確認でき、再生療法が向くかどうかの重要な手がかりになります。マイクロスコープによる拡大視野は、根の表面に残った沈着物の確認にも役立ちます。


自費診療と保険適用範囲の確認および明確な費用提示


再生療法のうちリグロスを用いる処置は保険が適用される場合があり、エムドゲインや骨補填材、遮断膜を用いる方法は自費診療になるのが一般的です。どの材料を使うかで費用も通院回数も変わるため、検査結果をもとに見積もりをお示ししてから同意をいただきます。お支払いはカード払い、分割払い、デンタルローンにも対応しています。


受診前に確認すべきポイントとカウンセリング予約の手順


ご相談の前に、1日の喫煙本数と年数、禁煙を試したことがあるか、服用中のお薬や全身疾患、いつまでに治療を終えたいか。この4点を整理しておくと話が進みやすくなります。「話しやすい先生」であることを大切にしていますので、禁煙に自信がないという段階でも遠慮なくお伝えください。診療は10:00〜13:00/14:30〜19:00、休診日は日曜・祝日です。WEB予約でご希望の日時が取れないときも、一度お電話(048-480-2525)でご相談ください12


よくある質問


Q1. 歯周病で溶けた骨は再生しますか?

A. 自然に元へ戻ることは基本的に期待できません。骨の欠損の形が限られた範囲にとどまり、清掃状態や全身状態などの条件が整っている場合に、再生療法で回復を促す道が検討されます。すべての症例に適応するわけではないため、検査による判断が前提になります。


Q2. 歯周病治療後にタバコを吸うとどうなりますか?

A. 傷口の治りが遅れたり、歯ぐきの炎症が残りやすくなる可能性があります。特に外科処置の直後は影響を受けやすい時期のため、少なくとも術後2週間、できれば骨の状態が落ち着くまでの休止をご相談しています。


Q3. 歯槽骨再生治療のデメリットは?

A. 外科処置に伴う腫れや違和感、適応が限られること、自費診療となる方法では費用の負担が生じること、そして結果をお約束できない点が挙げられます。術後のメインテナンスを継続できるかどうかも重要な要素です。


Q4. 歯の骨再生にかかる期間は?

A. 傷口の初期治癒に2週間程度、骨や歯根膜が成熟してレントゲンで変化を確認できるまでにおおよそ6ヶ月から1年を見込みます。経過観察のための通院が続くことを、あらかじめご了承ください。


Q5. 手術の直前に禁煙を始めても間に合いますか?

A. 数日前からの休止でも意味はありますが、血流や免疫の回復を考えると2〜4週間以上の期間を確保する方が望ましいと考えられます。歯周基本治療の期間を活用して準備を進める方法をご案内しています。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth


深町 和宏

歯科医師


新座きりん歯科クリニック

院長

深町 和宏

▶ 監修者プロフィール

経歴
2006年 北海道大学歯科部卒業
2007年 静岡県歯科医院勤務
2009年 埼玉県歯科医院勤務
2013年 東京都歯科医院勤務
資格・所属学会
日本顎咬合学会 かみ合わせ認定医
日本矯正歯科学会 会員
日本成人矯正歯科学会 会員
日本口腔インプラント学会 会員
日本歯周病学会 会員
日本舌側矯正歯科学会 会員


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