
こんにちは。新座きりん歯科クリニックです。
「根管治療でラバーダムって何のために必要なの?」
「ラバーダムをしていないとだめなの?」
このような疑問はありませんか?
ラバーダム(ラバーダム防湿)とは、治療する歯以外をゴムのシートで覆い、細菌を含む唾液の侵入を防ぐ処置のことです。
本記事では、ラバーダムを使用するメリットや使用しない場合のリスク、費用相場を解説します。
目次
■ラバーダム防湿とは?
ラバーダム防湿とは、治療する歯だけをゴム製のシートから露出させ、口の中のほかの部分を覆い隠す処置のことです。シートに小さな穴を開け、そこから対象の歯だけを出し、クランプと呼ばれる道具で固定します。
■ラバーダム防湿の役割
ラバーダム防湿の役割は以下の通りです。
◎誤飲・誤嚥(ごえん)の防止
根管治療では、リーマーやファイルと呼ばれる細い針状の器具を使用します。長さは数センチ程度ですが、万が一口の中に落ちてしまうと深刻な事故につながりかねません。ラバーダムがあれば、たとえ器具が手から滑り落ちてもシートがキャッチしてくれます。
◎無菌的処置が行える
根管治療で避けなければならないのが、細菌の侵入です。口の中には数百種類、数億個もの細菌が常在しています。ふだんは免疫や常在菌のバランスで問題になりにくいものの、根管治療のように歯の内部が露出する場面では状況が異なります。
根管の奥は直径0.2mm程度しかない細い空間です。そこへ唾液がわずかでも流れ込めば、細菌が根の先端にまで到達し、再感染のリスクが高まります。ラバーダムで歯を隔離すれば、唾液の流入をブロックできるのです。
◎接着強度の維持
根管充填やセラミック治療、レジン(プラスチック)修復など、接着操作を行う治療では、呼気に含まれる湿気や唾液がつくと接着力が低下します。
ラバーダムで唾液や呼気の湿気を遮断することで、本来の接着力を発揮できる環境が整います。
※すべての症例でラバーダムを使用するわけではありません。
◎軟組織(舌・頬・唇)の保護
根管治療では、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液を使用します。これらは細菌を殺す効果が高い反面、まれに粘膜に触れることがあると、炎症を起こす可能性があります。
また、回転する器具が頬や舌に当たれば、傷つけてしまう可能性も否定できません。ラバーダムは、薬液や器具から口腔内の軟組織を守るバリアとしても機能します。
◎治療の効率化と精度の向上
ラバーダムがあれば、術者は唾液のコントロールに気を取られることなく治療に集中できます。
バキュームで頻繁に唾液を吸引したり、コットンロールを何度も交換したりする手間が省けるため、1回あたりの治療がスムーズに進行します。
■ラバーダムなしの根管治療は危険?
ラバーダムを使わなければ必ず失敗する、とまでは言い切れません。ただし、ラバーダムを使用しない場合、良い治療環境が整いにくくなり、結果として成功率に影響が出る可能性が指摘されています。
ここでは、ラバーダムなしで根管治療を受けるリスクについて見ていきましょう。
リスク①:唾液から細菌が侵入し、治療後の再感染・再発率が上昇する
再感染が起きると、まず再治療が必要になり、その際にはすでに削られた歯をさらに削らなければなりません。
歯は再治療を重ねるたびに薄く、脆くなっていきます。「治療→再発→再治療→さらに再発」という悪循環が続けば、最終的には歯を支えきれなくなり、抜歯という選択も珍しくありません。
リスク②:根管内を無菌化できず治療が長引く原因に
ラバーダムを使用しない場合、治療中に唾液が入り込みやすくなることがあります。消毒を進めていても、わずかな湿気や細菌が混ざることで、治療の効率に影響することもあります。
その結果、治療期間が長くなったり、症状の改善に時間がかかる場合もあります。
リスク③:治療中の薬液・器具の誤飲事故を防げない
根管治療では、細い針状のファイルという器具で根管内を清掃し、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液で洗浄を行います。ラバーダムを使用しない場合、これらが口腔内に漏れたり、まれに誤って飲み込んでしまう可能性も考えられます。
■ラバーダムを使った根管治療はいくらかかる?
治療の質が大切だとわかっていても、やはり気になるのは費用面ではないでしょうか。
保険診療の場合、根管治療そのものの自己負担額は1本あたりおおよそ2,000〜10,000円程度です(3割負担・歯の種類や根管数によって変動)。
一部の歯科医院では保険診療の範囲内でもラバーダムを使用していますが、前述のとおり保険点数が算定できないため、そう多くはありません。
自費の精密根管治療の場合、費用相場は前歯で約7万〜10万円、小臼歯で約8万〜12万円、大臼歯(奥歯)で約10万〜15万円ほどです。
この中にはラバーダム防湿だけでなく、マイクロスコープ、歯科用CT、ニッケルチタンファイル、MTAセメント、ファイバーコアといった高精度な設備・材料の使用料が含まれているのが一般的です。
高いと感じる方もいるかもしれませんが、抜歯となってしまったあとのインプラントなどを考えると、今ある歯を精密治療で残す方が経済的にも身体的にも負担が少ない選択になるケースも多いです。
【ラバーダムは根管治療の成功率を高めるための大切な設備】
ラバーダム防湿は、治療する歯をゴムシートで隔離し、唾液中の細菌が根管内に侵入するのを防ぐ処置です。
日本ではコストの問題から普及率が約5%と低い現状ですが、ラバーダムの有無は、根管治療の成功率や再発リスクに影響します。
※東京医科歯科大学|根管処置におけるラバーダム仕様の現状
根管治療を成功させるためには、患者さま自身が治療環境の重要性を理解し、歯科医院を選ぶことが大切です。





