こんにちは。新座きりん歯科クリニックです。
「マウスピース矯正、1日20時間も装着できるかな?」
「うっかり外し忘れて、装着時間が足りなかったらどうしよう…」
「装着時間が短いと治療にどんな影響があるの?」
マウスピース矯正(インビザライン)を始めた方、または検討中の方で、このような不安を抱えていませんか?
マウスピース矯正は、歯を計画通りに動かすために1日20時間以上の装着が推奨されています。しかし、食事や歯みがき、仕事の都合などで、この時間を守るのが難しいと感じることもあるでしょう。
本記事では、マウスピースの装着時間がなぜ20時間以上必要なのか、時間が足りないと起こりうる問題、対処法などについて解説します。
目次
■なぜマウスピースは1日20時間以上の装着が必要?
「1日20時間以上」という時間は、歯が後戻りする力を上回り、計画通りに移動し続けるために必要な時間です。
どういうことかというと、私たちの歯は、顎の骨(歯槽骨)の中にしっかりと埋まっています。
マウスピースを装着すると、歯に持続的な力が加わり、この力によって歯が進む方向の骨は溶けて(吸収)、歯が動いた後のスペースには新しい骨が作られる(再生)という現象が起こります。これを繰り返すことによって、歯は少しずつ移動していくのです。
しかし、歯には元の位置に戻ろうとする力が常に働いています。マウスピースを外している時間が長くなると、この「後戻り」の力が働き、せっかく動いた歯が元の方向へ引き戻されてしまいます。
つまり、マウスピースの装着時間が短いと、歯は計画通りに動くための十分な力を受けられません。その結果、治療の進行が遅れたり、場合によっては歯が元の位置に戻ってしまったりする事態につながります。
治療を計画通りに進めるためにも、マウスピースは1日20時間以上の装着が必要になるのです。
■マウスピースの装着時間が足りないと起こりうること
装着時間を守れないと、以下のような影響が出る可能性があります。
◎治療計画との間にズレが生じる
マウスピース矯正は、治療開始前に3Dスキャンなどを用いて、歯の動きをシミュレーションし、治療計画を立てます。しかし、これはあくまで理想的な状況での予測です。
実際の歯の動きは、マウスピースの装着状況に大きく左右されます。装着時間が不足すると、歯がシミュレーション通りに動かず、計画との間にズレが生じます。
このズレが大きくなると、マウスピースを作り直す必要が出てきたり、期待していた歯並びにならなかったりするかもしれません。
◎治療期間が延び、費用が増える可能性がある
装着時間が足りなければ、歯の移動は計画よりも遅れます。その結果、当初予定していた治療期間が大幅に延びてしまうことも少なくありません。例えば、1年で終わるはずだった治療が、1年半、2年と長引くケースも考えられます。
治療期間が長引くと、通院回数が増えるだけでなく、場合によっては追加のマウスピースが必要となり、当初の予定よりも費用がかさんでしまう可能性があります。
治療へのモチベーションを維持するうえでも、期間の延長は避けたいところです。
◎歯や歯ぐきへ余計な負担がかかるリスクがある
マウスピースは、段階ごとに少しずつ歯並びを変えることで、歯を徐々に移動させます。装着時間が足りないまま次のマウスピースに進むと、歯がまだ動いていないのに無理に力を加えることになり、強い痛みを感じることがあります。
このような状態が続くと、歯の根や歯ぐきに予期せぬ負担がかかり、ダメージにつながる可能性も否定できません。
■インビザラインの装着時間が足りなかったときの対処法
インビザラインでの矯正を進める中で、「うっかり装着し忘れた」「思ったより外している時間が長かった」など、装着時間を守れなかった日があるかもしれません。
そんなときに最初に行うべきことは、担当の歯科医師に正直に状況を伝えることです。
「怒られるかもしれない」「治療が長引くと言われるのが怖い」と感じるかもしれませんが、自己判断で装着時間を調整したり、何事もなかったかのように次のマウスピースに進んだりするのは、かえって治療に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、「装着時間が足りなかったから、1つ前のマウスピースに戻して様子を見よう」と考える方もいるかもしれません。しかし、自己判断で戻すことはやめましょう。
1つ前のマウスピースは、現在の歯並びには合わない可能性があり、無理に戻すことで歯や歯ぐきに予期せぬ負担をかけたり、治療計画全体を狂わせてしまったりするリスクがあります。もし歯科医師が「1つ前に戻す」という指示を出した場合にのみ、その指示に従いましょう。
■装着時間を守るための3つのコツ
マウスピースの装着を毎日続けるのは大変そうに感じるかもしれませんが、以下のポイントを押さえることで、生活の一部にしていくことが可能です。
◎コツ1:生活リズムに組み込む
食事や歯みがきのタイミングとマウスピースの着脱を結びつけ、「食事が終わって歯を磨いたら、すぐに装着する」という流れを習慣化しましょう。
◎コツ2:ツールを活用する
スマートフォンのリマインダー機能や、インビザライン専用のアプリなどを活用して、装着忘れを防ぎましょう。タイマーを使って、外している時間を意識するのも効果的です。
◎コツ3:ケースを持ち歩く
外出時には必ずマウスピースケースを持ち歩き、外した際に紛失したり、そのまま忘れたりするのを防ぎます。職場や学校など、長時間過ごす場所にも予備のケースを置いておくと便利です。
【マウスピースの装着時間を守ろう】
マウスピース矯正(インビザライン)は、1日20時間以上の装着時間を守ることが大切です。
もし、装着時間を守れなかった日があったとしても、自己判断で対処せず、まずは正直に担当の歯科医師へ相談しましょう。
「食事後はすぐに装着する」「リマインダーを活用する」「ケースを持ち歩く」といった小さな工夫で、装着時間を確保しやすくなります。
マウスピース矯正は、患者さま自身の協力があってこそ成功する治療法です。不安なことや困ったことがあれば、一人で抱え込まず、いつでも新座きりん歯科クリニックにご相談ください。